※1)下顎の前から6番めの前側の根管で一番破折が起こりやすい
ご存知かとは思いますが歯には根っこがあります。歯ぐきの上の見えている分を歯冠、歯ぐきの中に埋まっている部分を歯根といいます。この歯根は歯肉に埋まっているように見えますが、実際は歯肉の下にある骨の中に埋まっているのです。
一般的に目に見える虫歯は歯冠にできた虫歯です。この虫歯が進行してどんどん歯根へと向かっていくわけですが、歯の中には歯冠から歯根にかけて歯髄(しずい)という歯の神経が通っています。そのため、歯の根が病気になったり、虫歯が歯の根に近づくと激しい痛みをともなうことになります。
では、歯根の病気とは一体何のことなのでしょうか。歯は外側から3層の構造で出来ています。一番外側はエナメル質という硬い部分。これは歯冠にしかありません。この内側に象牙質という少し柔らかい組織があります。これは歯冠にも歯根にもあります。そして、一番内部には、神経や血管が骨の中から根っこの先を通り入り込んでいる歯髄という組織があります。これも歯冠にも歯根にもあります。歯根の病気と言われものは、この歯髄が最近に感染することで出来る病気です。
ではどこから感染してしまうのでしょうか。むし歯ができて、菌が歯髄まで入り込んできたり、歯が折れて歯髄が露出したぶぶんが菌に感染してしまった時に、歯髄が感染し炎症を起こしてしまうのです。放置していると、冷たいものや温かいものに刺激されて痛みが出たり、何かを噛んだ時に痛みが出たり、何もしない時に痛みが出ることもあります。
そして、この何もしない時に痛みが出る自発痛とよばれる痛みは、かなりの激痛を伴うことがあります。みなさんの周りで夜も眠れないほどの痛みを感じたことがあるという方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。この歯髄炎と呼ばれる歯髄の炎症による自発痛は夜眠れなくなるほどの痛みを伴うことがあります。また、一度根の治療をしても、歯髄のある歯髄腔は枝分かれしていたり、曲がっているため、完全に菌を0にすることは不可能です。
このため、治療して何年か経つと歯根の先の骨が、感染により溶けて、そこに菌や肉芽組織や膿が溜まってくることがあります。そうすると、骨が炎症を起こして何もしない時に痛みを感じることもあれば、噛むたびに痛みが出て食事ができないこともあります。歯根の先端部に近い歯茎にニキビのような腫れができてくることもあります。
これは、根っこの先の感染により骨の中に膿が溜まり、圧力がかかることで骨の中に膿の通り道ができて、歯茎の下まで膿が出てきて貯まることによってできます。ここまでくると、炎症はかなりひどいと言えるでしょう。体調の良し悪しによってこの炎症がひどくなったり治ったりして、腫れが出たり引いたりを繰り返すことがあります。これは腫れが引いても勝手に治ったわけではありません。感染の原因となっている部分を取り除かなければ、炎症が消えることはないのです。
また、この腫れが放置され、だんだんひどくなってくるとどうなるのでしょう。ちょうど鼻の横の頬骨の中に、上顎洞という空洞があります。上の奥歯の歯根の先はこの上顎洞に近いため、感染が起こると上顎洞の中に炎症が広がります。これにより、歯性上顎洞炎という状態になることがあります。鼻から黄色い鼻水が出たり、頰が重たい感じがしますが、歯が原因なので耳鼻科で薬をもらっても治りません。
また蜂窩織炎という、感染が周囲の柔らかい組織に広がり、小さい膿が軟組織の中に散らばり、顔や喉が大きく腫れる状態になることもあります。場合によては呼吸困難に陥ることや、菌血症になり生命が脅かされることもあります。歯の病気ですが、その炎症は骨や周りの軟組織にまで及ぶこともあるのが、歯の根っこの病気です。
歯科医院は、痛みや恐怖を伴う場所として、あまり好ましく思われない場所の一つと言えます。しかし、多くの方が予防で定期的に通われるようになった現在では、昔ほど痛みやそれに繋がる要因は多くありません。大人になるにつれて嫌いな食べ物が減ってくる「食わず嫌い」を食べるのと同じで、歯医者も皆さんが思っているほど怖さを感じないかもしれません。とはいえ、行ってみなければわからないのは、恐怖心を持たれている方には難しいかと思います。当院では、歯医者がお怖くなる4つの要因に対して、以下の取組を行っていますのでご来院までにご参考にして下さい。
治療中のキーンとした痛み、歯医者が怖い人の中でも、最も多いと考えられるのが治療時の痛みではないでしょうか。実は歯医者の痛みが原因で、歯科が怖くて通えないという方は、大人にもたくさんおられます。物心がついたばかりのお子さまの場合、歯医者だけではなく病院や注射など、知らない人に体を触れること自体が怖いものです。しかし大人になるにつれて痛みの程度がわかるようになり、怖さが薄れてきます。しかし、大人になっても注射が苦手な方もおられるように、歯医者が苦手な方も痛みを克服できなければ歯医者が怖いままになってしまいます。また、一昔前までは、歯医者と言えば「痛い治療」と思われても仕方がないほど、痛みに対する配慮が行なわれてない歯科医院もありました。そのため、その当時の痛みがトラウマとなり、大人になっても歯科治療が受けられない方も多くおられるようです。
当院では、この痛みに対して、それぞれの痛みの原因ごとに対策を立て、実践しています。
痛みの捉え方は人それぞれですので、全くの無痛というのは実際のところ全身麻酔以外不可能とされています。しかし、しっかり痛みに配慮することで、ほとんどの人はその痛をほとんど気にせず治療することができるようになります。また、歯医者の痛みが怖い方には、無理をせず、最初はお話から入って少しずつ、ゆっくり治療するなどの対応も行っておりますので、痛みが怖い方は受診時、問診票に「治療の痛みが怖い・苦手」などとご記入いただければ、特に気をつけて治療に臨ませていただきます。
歯医者が怖い方に多いのが歯医者で使用する器具の音が苦手という方です。歯科での治療ではタービンという歯を削る器具を高速で回転させる器械や、超音波スケーラーという歯石取りの器具などを使います。主にこの2つが皆さんが「怖い」と感じる甲高い音の正体です。近年では、歯科用器具も進歩してきており、徐々に機器の音は小さくなってきているとはいうものの、無音というわけではありません。スケーラーに関しても、超音波スケーラーが苦手な方には器械を使わず手作業で歯石を除去することも可能ですが、歯石を削ぎ取る際「ガリッ」「カリカリ」という音がすることがあります。そのため音が苦手な方には音楽プレーヤーをお貸ししたり、ご自身の端末で音楽を聞きながら治療を受けていただくことをお薦めしています。おちろん必要時には肩をたたいてお知らせしいたしますので、遠慮なさらずに好きな音楽を聞きながらリラックスして治療を受けて下さい。
歯医者に怖さを感じる方の中に一定数おられるのが「匂い」です。人間の嗅覚は外界の情報を明確に定義できるという点から、情動(恐怖を含む生存に欠かすことのできない本能を呼び起こす心の働き)に密接に関わっていると言われています(※1)。ですから「歯医者の匂い」を嗅ぎ分けると、「痛み」や「恐怖」を連想し、不快に感じる方が多くおられれるのだと思います。中には薬品自体の匂いが苦手な方も多くおられますが、いずれにせよ「匂い」によって歯医者にいる時間が苦痛になる方がおられることは事実です。当院では、なるべくこの歯医者特有の「匂い」が出にくい薬品を使用したり、アロマスティックなどを診療室に設置することでなるべく匂いが気にならないような配慮を行っています。
※1)特定の匂い分子を嗅がせた後に痛みなどの嫌悪刺激を与えることで,その匂いに対する忌避行動を後天的に学習することができる
歯医者の治療が怖い理由の中で、意外に多いのが「何をされるかわからない」ことです。よく患者様からお伺いするのが「何も説明されずに歯を削られた」とか、「強く口唇を引っ張られた」というようなご不満です。ですから当院では、施術の際は必ず「今から歯を削りますね」など、お声掛けをするよう徹底しています。同じ処置でも「今から触られる」とわかって触られるのと、目隠しをした状態でいきなり触れられるのでは感じ方が大きく異なります。
特に当院では、患者様のプライバシーに配慮し、タオルによる目隠しをして治療を行っています。患者様は治療中、視覚からの情報が遮断されていますので、特にお声掛けには注意し、お口やその周りにはソフトタッチを徹底しています。
歯医者が怖い人にとって、歯医者はそう何度も通いたくない場所かもしれません。しかし、歯医者の治療をなるべく受けなくて良いようにしようと思うのであれば、定期的に歯科医院に通うことをお薦めします。
歯医者の定期検診は、定期的なメインテナンスや自分では落としきれていない歯垢や歯石、着色を除去します。これは治療ではなく「予防」処置です。痛みを伴うような施術はほとんどありません。予防歯科はむし歯や歯周病のリスクを下げるために行うものですから、「痛い治療」を行なわなくても済む確率が高くなると言えます。また、万が一何らかの疾患にかかっても、早期発見・早期治療ができれば、痛みを伴うような処置を行う可能性も低くなります。歯科治療は実は、病状が進むほど治療時の痛みが強くなることが多いのです。
ですから、予防歯科・定期検診を取り入れることは、お口の健康のためにも、痛い処置から避けるためにも合理的な手段であると言えます。歯医者での治療が怖い方こそ、是非痛みの少ない予防で歯医者をご利用頂ければ、歯医者も少しは通いやすい場所になるのではと思います。
では、歯の根の治療にはどのようなものがあるのでしょう。歯の根っこの治療といっても、歯の状態によって治療方法はいくつかあります。大きく分けると、非外科的歯内療法と、外科的歯内療法の2つに分けられます。通常行う歯の根の治療は非外科的歯内療法というもので、歯冠側から根っこの中に細い器具を入れて行う治療です。
この中でも、歯の状態によって行う呼び方が変わります。抜髄処置、感染根管治療 の二つです。
歯髄炎の場合
①むし歯が歯の神経(近く)まで到達した状態。
②まずは虫歯を取り除きます。
③特殊な器具で神経を取り除きます。
④お薬を用いて空洞を封鎖し感染を防ぎます。
⑤神経の代わりに土台を入れて補強します。
⑥出来あがたった被せ物(クラウン)を調整し、接着します。
根尖性歯周炎の場合
①歯の根の先に膿がたまってしまった状態。
②特殊な器具を使って古い薬や病巣を取り除きます。
③薬品を使って根を洗浄し、空洞を封鎖します。
④土台を入れて補強します。
⑤出来あがたった被せ物(クラウン)を調整し、接着します。
このように手順が多く回数がかかることが根っこの治療の特徴です。治療回数は(1)の抜髄の場合は治療が完了するまで5~10回(保険診療の場合)、(2) の感染根管治療の場合はもっと回数がかかります(5〜15回)。
治療の成功率について
また、やる内容や使う器具には大きな変化はないのですが、治療の成功率が違います。上でも述べているように、根っこの状態は人によっても、歯によっても様々なため、できるだけその数を減らすことができますが、完全に菌を死滅させることは不可能です。(1)のような治療では、歯髄にいる菌の数が少なく、場合によっては根っこの先まで菌がいないため、治療後に感染した部分が残る可能性が低いため、成功率が高くなります。
②の治療では、感染が歯髄の根っこの先まで及び、根っこの先の外にも感染が広がっているため、器具でしっかり清掃したとしても、細菌がどこかに残ってしまう可能性が高く、特に、根っこの先の炎症がひどい場合は、器具はそこまで綺麗にできないため、根っこの外に細菌が残るケースもあります。この場合は治療後にも炎症が残り症状が改善しない、もしくは、症状が時間をおいて再発する可能性も高くなります。
また、一度すでに根管治療を受けていて、再治療を行う場合は、以前の治療で器具で触れていない部位がある場合、そこに細い器具を入れていくのはとても難しくなり、治療の精度が落ちてしまいます。Sjogrenらの研究(※1)によると、治療における予後成績良率を抜髄治療では98%、感染根管治療では86%、再治療では62%としており、その違いがあることが明らかとされています。このため、感染が広がり根っこの先に炎症が及ぶよりも前に治療を行う方が、その後の歯の状態は良くなります。
外科的歯内療法
以上のような非外科的歯内療法を行なっても成功しない場合は、外科的歯内療法が行われます。主に歯根端切除術と、意図的再植術です。
まず、歯根端切除術は、根っこの先の炎症が治らない場合、根っこの先にある感染物を根っこの先ごと取り除く治療です。歯肉を開き、骨に穴を開けて感染部を治療します。
この治療ができないような場所が感染している時、または歯の長さが短い場合は、一度歯を抜き、感染している部分を取り除き、また歯を元に戻すという意図的再植術を行うこともあります。
どちらも外科的な侵襲が伴う治療になります。こういった治療もできない場合は歯を取り除いてしまう抜歯という治療を行います。
※1)抜歯の主原因別の割合で最も多かったのは歯周病(37.1%)、次いでう蝕(29.2%)、破折 (17.8%)、その他(7.6%)、埋伏歯(5.0%)、矯正(1.9%)の順となった。
歯の根の治療を行う場合、ほとんどの場合が非外科的歯内療法という歯冠側からアプローチする方法となります。治療には回数がかかるため、何度も治療に通わなくてはなりません。また、治療中は仮の蓋をするのですが、これは大体数週間ほどで隙間ができるため、せっかく綺麗にした根っこの中が再び感染してしまうといわれています。このため、できれば間隔を空けずに治療に通わなければなりません。また、治療が途中で中断すると、治療途中の根っこの中が大量の菌に汚染され、久しぶりに歯科に行くと抜かないといけなくなるというケースも多々あるため、治療を中断しないことが最も重要となります。
痛みがなくなったら「大丈夫かも?」と思うこともあるかもしれませんが、それは一時的な小康状態です。何度も通うのは煩わしいかもしれませんが、治療終了まできちんと治療を継続して下さい。治療途中の歯の悪化は、抜歯にも繋がりかねます。
歯の根の治療は痛みを伴う場合が多いです。もちろん可能な限りの配慮はしますが、神経を直接触るため、麻酔が効いた状態でなければかなりの痛みを伴います。
治療中だけでなく、神経を取る治療後も、歯とつながって居た部分の神経は切断された状態ですので、ジンジンとした痛みがしばらく続くこともあります。また、治療が終わるまでの間は、治療中の歯で何か噛むと痛みが出ることもあります。治療が完了した後にも違和感が出たり、噛むと響く感じがしばらく続くこともあります。このような状態は徐々に落ち着いてきますが、「治療したのに痛みがある」という感覚は、患者様にとって不安以外の何者でもないと思います。ですから、当院では治療後のお痛みの可能性や対処法についてなど、その日の処置ごとにご説明することを心がけています。歯科医師のアドバイスをしっかり聞き、処方薬などを使用しならがら、治療後の痛みや症状に備え、しっかり治療をしていきましょう。
お口の中には唾液があり、唾液には何億もの菌が存在します。そのため、歯の根の治療のように歯に穴を開けて神経を触る治療となると、治療中歯髄はその菌にさらされることにより、治療の妨げとなってしまいます。これを防ぐため、感染が起きにくいようラバーと呼ばれるゴムの膜を張る「ラバーダム防湿」という唾液が入らないようにする方法があります。ラバーダムを張ると、呼吸が若干しづらくなったり、嘔吐反射がある方には使用することができないことはありますが、これを使うことにより歯内療法の成功率は高まります。また、歯髄の形によっても治療の成功率や治療回数は変わり、根っこの数が多いほど治療回数は増え、根っこの形が複雑なほど成功率は下がります。アップル歯科では歯の根の治療の成功率・治療後の再発を防ぐためのあらゆる方法を取り入れ、実践しています。
治療に用いる器具は細い棒状の金属ですが、これは力がかかると折れることがあります。特に、曲がった根っこや、先が細くなっている根っこの場合、器具が折れてしまいやすく、下顎の前から6番めの前側の根っこで一番破折が起こりやすいというデータがあります(※1)。また、折れた場合は破折片を基本的には除去しますが、先の方で折れた器具は取れないこともあります。
破折片は必ずしも除去しないといけない訳ではなく、実際根っこの先端付近での破折片の有無で歯の予後に影響はあまりないという調査結果も出ています。(※2)
しかし、その部分に感染がある場合は、歯の寿命は短くなってしまうし、再治療を行うことも困難になることもあります。
歯髄を取り除いてしまうと、しみたりする症状がなくなりますが、歯に栄養を供給していた血管も一緒になくなってしまいます。また、根っこの中に人工物が入るため、歯根が折れやすくなり、歯の寿命が短くなってしまいます。また、歯の色も次第に黒っぽく変色してきて、見た目も悪くなってしまいます。
歯髄をとる必要がある場合は仕方がありませんが、歯髄は残しておく方が歯の寿命は長くなります。このため、歯の根の治療は極力避けなければならないため、そうなる前に、むし歯の治療は受けなければなりません。
※1)下顎の前から6番めの前側の根管で一番破折が起こりやすい
※2)歯根の先端付近での破折片の有無で歯の予後に影響はあまりない
予防歯科とは、むし歯になり治療するより前に、定期健診を受け予防していく事です。治療で歯医者は通うが治療が終われば行かなくなってしまった、昔は定期的に通っていたが今は遠のいてしまったと言う方は多いのではないでしょうか。2016年に日本歯科医師会が行った「歯科医療に関する一般生活者意識調査」では、日本人で一年以内にに歯科検診を受けている人は約半数程度おられたそうです(※1)。ここ数年、順調に増えてはきているものの、予防先進国と言われる国に比べると残念ながらまだまだ低いと言わざるを得ない実情です。
※1)この1年間に 1 回以上、「歯科医院もしくは病院の歯科でのチェック」を受けている人は 44.6%、「学校や企業で、歯や口の中の状態をチェックしている」人は 4.0%、「自治体(都 道府県や市区町村)で行っている歯科検診」を受けている人は 1.6%。これらのいずれかの 検診・健診を受けた人は全体の約半数(49.0%)にあたります。
とはいえ、まだまだ多くの方が「歯科は痛くなってから利用するところ」という方も多いの現状です。アップル歯科では「痛くて来た」患者様に対し「痛くなかった」という感想を持ってもらうことで、歯科に対する不安を取り除よう努めています。歯医者が怖くないところという意識をもってもらうことで、患者様にとって行きやすい場所になり、予防でも通うことができるようになると考えているからです。予防しかはほとんど痛みを伴いません。歯科衛生士さんと世間話をしながら、3ヶ月~6ヶ月を目安にリラックスしてクリーニングを受けるサロンのような施術です。定期検診という習慣を身につけ、より良いお口の中を一緒に作っていきましょう。
どうして日本人は歯医者に通う割合が低いのでしょうか。昔から歯医者は、痛い治療や怖いところと言ったイメージがありなるべく通いたくないと認識している方が多いと思われます。また、仕事が忙しく時間が取れなかったり歯医者に足を運ぶのが億劫になっている方もおられると思います。
しかし、予防と治療では治療の方が痛いのはご理解いただけると思います。また、予防で年に3回歯科に通うのと、治療になって5〜6回、場合によっては数十回通うのであれば、予防に通う方が時間の面でも費用の面でもハードルは低いのではないでしょうか?
これらを理解いただくことが、予防の受診率につながるのではないかと考えています。そのためにはデンタルIQ(歯科治療に関する知識)を高める必要があります。アップル歯科では、患者様のデンタルIQを上げるため、カウンセリングにて予防や検診について情報もご提供しています。
虫歯の予防
歯は毎日歯磨きをしていても、むし歯になってしまう事があります。そして、むし歯になると歯を削ったり、詰め物を被せたり、さらに大きなむし歯になっていると神経を抜いたり、歯を抜かなければいけない治療になってしまいます。また、治療した歯でも再びむし歯になるリスクもあります。それは、お口の中にいる細菌が原因でもあるのです。この細菌は、歯ブラシだけで落とすことは不可能で、歯磨きのプロである歯科衛生士ですら細菌を0にすることは出来ません。
予防歯科では、この菌の住処である歯垢や歯石、着色をプロの手で除去し、菌のコントロールを行います。また、治療歯の詰め物や被せ物の状態を確認し、外れかけていないか・破損はないかを見ることで修復物の隙間からなる虫歯の最初のチェックをします。その他、フッ素を塗布して虫歯になりにくい歯を作るなど、mすい歯の原因を除去してむし歯になりにくい口腔内を作るお手伝いをします。
歯周病の原因は歯周病の原因菌です。これらはむし歯と同じく歯垢や歯石、着色を落とすことで菌の数を減らし、歯周病になりにくい状態を作ります。予防では主に縁上(歯と歯ぐきの見えている部分と境目)の歯垢や歯石を除去します。歯石が溜まっている場合や歯肉に炎症がおきている場合は縁下(歯の歯ぐきの中に隠れている部分)を歯石も除去することもあります。また、ブラッシングの状態を確認したり、前回の状態から比較することで、歯磨きが苦手な部位を特定したり、口腔内の環境がどの程度変わったかを確認し、悪くなっていれば改善を促します。
歯科での治療といえばむし歯や歯周病を思い浮かべる方が多いと思いますが、もう一つ大切なのは咬み合わせです。この咬み合わせは、むし歯や歯周病が原因で変わってしまうこともあれば、自分の噛む力によって悪くなることもあります。咬み合わせが悪くなると、咬合生外傷といって咬み合わせが原因の様々な損傷を起こしたり、ひどい時には噛み合う歯を割ってしまうこともあります。予防歯科では歯のすり減り具合や元々の咬合を考慮しながら、現在の状態が悪くなっていないかを調べます。
予防は歯科の治療の中でもっとも痛みを伴わない治療の一つです。アップル歯科では、予防で歯科を利用しやすいように、コミュニケーションを多く取り、笑顔で毎回お会いできるような診療スタイルを整えています。痛い治療ではなく、痛みのない治療で年に数回お会いすることが、私たちアップル歯科と患者様の最良のお付き合いの仕方であると考えています。
などの現在のお口の状態を確認し、歯石やプラーク、着色が沈着してるところにはプラフェッショナルケアとしてスケーリングなどので施術を行こないます。また、磨けていないところには歯磨き指導、小さいお子様にはフッ化物塗布を行います。
下記費用は自由診療の場合の費用です。保険適用可能な治療の費用は全国一律で同じで、当院でも受診いただけます。
種類 | 説明 | 料金 |
---|---|---|
TBI・ブラッシング指導 |
自身で行うセルフケアの指導です。患者様ごとに苦手な場所や磨き残しの多い歯、十分に歯ブラシが行き渡っていない部位などを重点的に指導したり、基本的なブラッシングの正しい方法などもお伝えします。 治療期間…1日、治療回数…1回 |
30分/3,000円 税込3,300円 |
スケーリング |
スケーラーという刃のついた特殊な器具で、歯面に沈着したプラーク(歯垢)や歯石、歯面に沈着バイオフィルム(細菌の塊)などを除去していく施術です。スケーラーには手用・超音波・エアースケーラー等の種類があり、汚れや部位によって使い分けていきます。 治療期間…1日〜2週間、治療回数…1〜4回 |
30分/5,000円 税込5,500円 |
ルートプレーニング |
スケーラーやキュレットと呼ばれる特殊な器具によって、プラーク(歯垢)や歯石を除去する主に中等度以上の歯周病患者さん向けの施術となります。 治療期間…1日〜2週間、治療回数…1〜6回 |
60分/8,000円 税込8,800円 |
PMTC |
Professional Mechanical Tooth Cleaningという、歯科衛生士と歯科医師による専門的な歯の清掃と予防です。汚れを落とすだけでなく、むし歯や歯周病になりにくいお口を作ります。 治療期間…1日、治療回数…1回 |
30分/5,000円 税込5,500円 60分/8,000円 税込8,800円 |
メインテナンス |
歯科医師・歯科衛生士による治療箇所の経過観察と定期的な検診、歯周病予防、咬合チェック、虫歯チェック。 治療期間…1日、治療回数…1回 |
60分/8,000円 税込8,800円 |
クラウンレングス |
歯冠延長術という、歯肉や歯槽骨を削ることでむし歯や歯が割れている部分を歯肉の上に出し、抜歯を免れるための保存法です。 リスク・副作用 |
1歯/50,000円 税込55,000円 全顎/200,000円 税込220,000円 |
FOP |
歯肉剥離掻爬術という、麻酔下で歯肉を剥離して目視できる状態で歯ぐきの深層にたまっている歯石を除去します。 リスク・副作用 |
30,000円 税込33,000円 |
FGG・CTG |
歯肉移植術という、痩せて薄くなった歯肉や、歯を抜いた後に陥没した部分がある場合に、他の部位から歯肉を移植する手術です。 リスク・副作用 |
70,000円 税込77,000円 |
GBR・エムドゲイン |
骨誘導再生ともいう、失った歯槽骨や顎骨などの骨組織の再生を人工膜や自家骨、骨補填剤を使って骨を造成する治療方法です。 リスク・副作用 |
100,000円 税込110,000円 |
お口の中には約300~500の細菌がいると言われています。これらの細菌は、上手く歯磨きが出来ていない状態や砂糖の過剰摂取により細菌がネバネバした物質を作り出してしまい、歯周病の進行してしまうのです。
歯医者のクリーニングでは、この菌の住処となる歯垢や歯石を自分自信では落とし切ることのできないところまで除去することを目的として行います。ある論文では、歯磨きによる歯垢除去率はおよそ 50%で、1分間における歯磨きではおよそ39%しか除去できないとされています。これをプロの歯科衛生士によって除去することで、歯周病・むし歯の進行を食い止めたり、予防をします。
※1)成人を対象とした研究において,歯磨きによる歯垢除去率はおよそ50%であり,1分間における歯磨きではおよそ39%しか除去できないことが明らかにされている。
クリーニングで落とす「住処」とは何でしょうか。大きく分けて3つあります。
プラーク
プラークとは細菌の塊のことで、歯と歯の歯肉(歯茎)の境目や歯と歯の隙間に付く白い汚れのことです。この細菌たちはネバネバしており粘着性が強いため、歯の表面に付着しうがいだけでは落ちません。そして、このプラークは長時間お口の中に滞在することによってトラブルを引き起こす細菌が増殖し、歯や歯肉に悪い影響を与え、むし歯や歯周病の原因になります。
クリーニングの際に、顕微鏡にてこのプラークを確認してもらい、患者様にあったクリーニングを提供させて頂いています。普段はあまり意識しない方でも、細菌を見ると歯ブラシがどれだけ大事なのか気付いてもらえるのではないでしょうか。
歯石
歯石とは先程のプラークが、歯ブラシで取りきれないまま長期間お口の中に滞在し石灰化した沈着物のことです。歯の表面や歯肉の中のポケットと呼ばれる奥深くにまで沈着してしまう事もあります。これらの歯石は、非常に固く歯ブラシで除去することは出来ません。何で除去するかと言うと歯医者での歯科衛生士による専門的なクリーニングです。歯石が付いたままになっていると、歯肉は炎症し歯の周りの骨も溶け歯周病が進んでしまいます。
一度溶けた骨は元には戻らないので、早めのクリーニングにて検査、歯石除去をするのが効果的です。歯石の付きやすい方もおられるので、定期的に通うのをお勧めします。
着色
歯の色味も汚れの1つです。代表的なものではタバコでのヤニ、コーヒー・紅茶・ワインなどのステインなどが歯の着色の原因です。ご自身で落とすのは困難な場合も多く、間違った歯磨きの仕方をしてしまうと歯を傷つけたり逆効果になる場合もあるので歯医者さんでの専門的な機械を使い除去するのが望ましいです。
当院では、エアフローと呼ばれる歯面清掃用パウダーを用いて着色を落としていきます。歯の表面を傷つけずに除去が可能です。
他にもクリーニングを必要とするケースは様々ありますが、歯の汚れは歯周病にもつながる最大の原因です。今や日本人の約8割が罹患していると言われている歯周病を防ぐためにもクリーニングは有効です。ですから、クリーニング=歯周病治療と考え、多くの方に受けて頂きたい治療でもあります。クリーニングはほとんど痛みを伴わず、治療後には歯がツルツルになるだけでなく、ニオイのもとである菌や菌の排泄物等を除去するため口臭予防にも効果的です。これ以上お口の中に悪い細菌を増やさないため、歯周病やむし歯を再発させないため、歯の治療をするにあたっても感染を予防するためにも必要不可欠な治療ですので、クリーニングでお口の中の環境を整え守っていきましょう。
※1)※1)電動歯ブラシは、短期的および長期的に手動の歯磨きよりもプラークおよび歯肉炎を軽減します。
歯科医院では、様々な精密機器を用いて検診を行なっております。代表的なものにレントゲン撮影があります。これは、低被ばくのデジタルレントゲンでむし歯や根の状態、目視できない歯のトラブルを確認します。他にもCTと呼ばれる、レントゲンでも映らないところを三次元的に確認できるものがあります。ほとんどの歯科医院ではこれらの機器を使用し、検診を行なっています。
当院では、これに加え3D光学式口腔内スキャナー(iTero5D)という機器にて、見えないむし歯や咬み合わせ、歯並びの確認など、見えない部分の検診をデジタル技術を使用して行っております。
デジタル歯科検診の内容
パノラマレントゲン・セファログラム・デンタルレントゲンなどの各種レントゲンから治療が必要な部位や治療計画を立案します。
口腔内専用の低被ばくCTで歯ぐきの中の歯や骨のの状態、親知らずの位置や生え方、歯の根の周辺の病巣などを確認します。
見えない隣接面の虫歯を近赤外線で確認、咬み合わせの癖や状態、歯垢や歯石の取り残し、歯並びの状態と改善シミュレーションを行います。
レントゲンは低被ばくではあるものの、放射線を用いて撮影していくものですが、iTero5Dでは放射線ではなく、光学式のスキャナー(カメラ)を使用し口腔内をスキャンすることにより、精密な歯型を3Dデジタルデータとして読み取ります。これで、むし歯、歯石、咬み合わせ、歯並び等を目視でき、患者様により自分自身のお口の中を客観視できるようになっています。また、マウスピース矯正による歯並び治療のシミュレーションを見ることも可能な医療機器です。
アップル歯科ではレントゲン・歯科用CT・アイテロ5Dを使用し、見えないむし歯や歯の疾患、歯並びの問題を確認し、予防や治療に役立てます。
むし歯はほとんどの方が経験する病気
むし歯はほぼ全ての人が経験するとても身近な病気です。歯周病とならび、歯科の二大疾患とされています。厚生労働省の平成28年に行なった歯科疾患実態調査結果の概要(※1)によると、むし歯になったことのある歯を持つ人の割合は、20代前半でも76.6%、20代後半から30代前半では90.2%、30代後半になると99.3%以上となってきます。
つまり、どれだけ歯磨きをする人であっても、恐らく人生に1度程度は虫歯になってしまった経験があるということになります。皆さんもきっと、できて欲しくないむし歯。まずは、むし歯がどんなものなのかという基礎知識や、その治療方法、どうしたらできにくくなるのかといったことを知り、その予防法やなってしまった時の対処法をご紹介します。
※1)5歳以上10歳未満では処置歯または未処置のう歯を持つ者の割合は10%を下まわったが、25歳 以上85歳未満では80%以上と高く、とくに35歳以上55歳未満では100%に近かった
そもそもむし歯って何?
一口にむし歯といいますが、むし歯とは一体どのような状態のことをいうのでしょうか?
答えはすべてむし歯です。痛みがなく、穴が空いていなくても実は気づかないうちにできていることもあります。汚れがずっとついている部分や、歯に入った小さな亀裂、すでに入っている詰め物や被せ物と歯の隙間などは、特にむし歯ができやすいです。気づかずに放っておくとだんだん大きくなり、痛みが出てきたり、歯が欠けてしまいます。治療を繰り返すうちにどんどん歯が削られていき、最終的には歯を抜く治療が必要になってしまいます。大切なのは早い段階で気づいて、治療を始めることです。
むし歯はどうやってできるの?
むし歯はう蝕(うしょく)と呼ばれ、学術的にいうと『高濃度の有機酸がエナメル質を脱灰することで始まる。この有機酸は、食物に含まれている糖を、歯垢の中の細菌が発酵することによって、産生される。』と定義されます(むし歯が細菌によって引き起こされることは、1946年に McClureらによって証明されています)。わかりやすく言うと、お口の中に生息するミュータンス菌などのう蝕原因菌が、食べ物に含まれる糖を取り込み、それを分解することで酸が生まれます。通常、細菌は酸性状況下では増殖が抑制されますが、このミュータンス菌は酸に強く、お口の中が酸性の状態でもさらに酸を産生し続けます。この酸が原因で歯の表面が脱灰した状態となってしまうというわけです。
つまり、お口の中にはたくさんの細菌が住んでいますが、その中でも、むし歯の原因細菌とされる種類の細菌が食べ物の中の糖質を酸に変え、それが歯を溶かすことにできるほど濃度が高くなるため、むし歯という状態になってしまうのです。
※2)むし歯は自分だけでなく他の人にも移る感染症である
むし歯はその深さによって呼び方が変わります。歯科では、CO、C1~C4まで5つのステージでその区別をしています。
進行 | 見た目 | 症状 | 治療 |
---|---|---|---|
CO |
歯の表面が白く不透明に濁る ガサガサしている COは、ゼロではなく、カリエス・オブザベーション(caries observation)の略で、経過観察歯という意味です。これは、エナメル質の表面が酸で少し溶け始めた状態で、経過観察を行なったり、フッ素を塗って再石灰化を期待することもあります。この段階であれば、歯の溶けた脱灰という状態から生石灰化によって元に戻ることがあります。このため、わざわざ削って治療する必要はありません。 |
無症状 | ・フッ素塗布 ・経過観察 |
C1 |
表面が黒や茶色になる 溝が黒くなる C1は、歯の一番表面である、エナメル質という部分に限局した小さいむし歯です。COのように元に戻ることはありませんが、エナメル質は固くむし歯の進行が遅いため、経過観察を行うことが多いです。見た目や大きさによっては削って治療することもあります。 |
無症状 | ・フッ素塗布 ・経過観察 ・詰め物で修復 |
C2 |
穴が開く 歯の内面が黒、茶色になる C2は、むし歯がエナメル質を超え、歯の内側にある象牙質という組織まで進行したもののことを言います。歯の一番内部には、神経や血管の入っている歯髄と呼ばれる組織があるのですが、象牙質はその歯髄と接しているため、しみる症状を感じることがあります。 |
冷たいものや甘いものがしみる | ・詰め物で修復 |
C3 |
穴が開く 歯の内面が黒、茶色になる
C3は歯髄までむし歯の菌が感染してしまった状態です。ここまでくると、神経が直接痛みを感じ、何もしていなくてもズキズキ痛む自発痛や、冷たいもの、熱いものがしみる冷水痛や温水痛、噛むと痛む咬合痛などの症状が出ます。痛みが一度出て数日すると落ち着く場合や、何も症状がない場合もあります。 |
何もしなくても痛む 冷たい、暖かいものがしみる 噛むと痛む |
・神経の治療 ・大きな被せ物 |
C4 |
歯の頭がなくなり、根っこだけが残っている C4は、むし歯が進み、歯の頭の部分がなくなり、根っこだけが残っている状態です。ここまでくると、根っこが弱く、人工物で歯を作っても支えることができないため、歯を抜かなくてはなりません。 |
何もしなくても痛む 噛むと痛む |
・抜歯 ・欠損補綴 |
ごく小さなむし歯の場合
むし歯の治療を行う場合、虫歯になっている部分を取り除く必要があります。小さな虫歯であれば自由診療で削らずお薬で溶かす方法もありますが、ほとんどの場合はむし歯に侵された部分とその周囲を削って治療することになります。削った後は、それぞれの大きさに合わせて人工物によって補う必要があります。むし歯自体が小さいものならば、CR(コンポジットレジン)という光をあてることで固まる白い樹脂で詰めることができます。治療は一回で終わることがほとんどんで、見た目も治療しかどうかわかりにくく目立ちにくいという特徴があります。
ただし、CRははプラスチックで強度が弱く、水分に対しても弱いので、噛む力がかかる部分ではかけてしまったり、取れてしまうことがあり、時間が経つと劣化して色が変わってくることもあります。
小さなむし歯の場合
面積の広いむし歯や、歯と歯の間の力のかかる部分を詰めるときは、歯を削ったあとに型どりをして、その形に合わせたインレーという詰め物で歯の形を再現します。インレーの種類は保険治療でできる負担額の少ないものだとパラジウムという銀歯による治療となります。自由診療であればセラミックと呼ばれる歯と色が近く取れにくい陶材や、ゴールドを多く用いた強度が高く柔軟性のある金属なども使用できます。口腔内とはいえ体に入れるものですので、人ぞれぞれにあった材料があります。当院では患者様と相談しながらどの材料によって使用するかを決めていきます。
インレーによる治療は約2~3回の来院が必要となります。
インレーは歯を削った形に特殊な接着材で接着するのですが、時間が経つと接着剤が劣化し、流れ出してくるためそのスペースに菌が入り込み中でむし歯ができてしまいます。定期的な検診で隙間がないか、隙間から虫歯になっていないかを確認しましょう。
大きなむし歯の場合
歯の深い部分まで詰め物になっている場合は、歯髄の近くからむし歯ができるため、次に治療をするときはC3になっており、歯髄を取らないといけない場合もあります。歯髄を取った歯は、歯が弱くなり割れやすくなります。また歯の頭の部分である歯冠の歯質を多く失っているため、歯の内側から力のかかりやすいインレーのような詰め物ではなく、歯を覆い、力が外向きにかかりにくいような被せもの(クラウン)を作る必要があります。保険ではパラジウムをメインに使った銀色の歯か、ハイブリットレジンというプラスチックの材料を使ったクラウン(適応有)となります。※前歯の場合は見える部分に樹脂を貼り付けた前装冠というものを使用します。
クラウンも、インレーと同じように材料によって特徴があります。自由診療には目立たず自然に見えるセラミック、白くて強いジルコニアセラミック、咬み合わせの力に強いゴールドを使ったもの、保険で使用できるものを含めてインレーよりも種類が豊富です。担当医と相談しながらご自身にあったクラウンを選んで下さい。
根っこの治療を行ない被せを作る場合、治療回数は大体5~7回ほどを要します。この治療を受けると、数年後に根っこが再度むし歯になったり、力がかかって支えになっている根っこが折れてしまったり、根っこの先に細菌が入り、骨を溶かして炎症を起こすことがあります。この場合再度同じような治療を行うか、歯の根っこの状態によっては抜歯になる可能性もあります。定期的に問題がないか、検診を受けることが大切です。
むし歯の再発を防ぐため
むし歯の治療は、「治療」といいながらも削った歯が元に戻るわけではありません。そこはあなた自身の体の一部だったものから人工物に変わっているだけだであり、むし歯という症状がその歯から一旦なくなるだけのことです。一度治療した歯は、またいつかむし歯になってしまい、再治療を行はなければならない可能性は低くありません。治療を繰り返すうちにどんどん元あった歯質は失われていき、最終的には歯を抜かなくてはならなくなることも有り得ます。自分の歯を守るためにはまずむし歯にならないこと、もしむし歯になったら早めに治療すること、むし歯を繰り返さないための対策を講じることが重要です。
アップル歯科では治療よりも予防に重きを置く歯科医院です。定期検診をご利用頂いたり、むし歯にならないための素材をご検討いただくなど、むし歯の繰り返しでは歯を失わないための治療を提供していきたいと考えています。そのためにもカウンセリングでしっかりと患者様のお話をお伺いし、患者様に合った治療法をご提案できるよう努めます。
治療した歯の虫歯の進行
一度でもむし歯になってしまうと、同じ歯や周りの歯もむし歯になる可能性を考慮する必要があります。むし歯に対して一番効果的であなたの歯を長く綺麗に使っていくために一番必要なことは何でしょうか。
それは、むし歯の予防です。むし歯ができないようにしっかりケアを行い、一度もむし歯になったことがない歯が多いほど、そのお口の中は健康と言えるでしょう。
また、一度むし歯になっていしまった歯も、綺麗に治療を受け、むし歯の予防をしっかり行なっていれば、むし歯菌の増殖を防いだり、歯質を守ることができます。歯を守る方法をしっかりと身につけ、健康な口腔内環境を保ちましょう。
当たり前ですが、歯磨きをしっかりして、歯にずっと菌がついている状態を減らすことで、むし歯のできやすさは変わります。歯磨きをするといっても、その人の癖や教えてもらった人の傾向によって磨き方が異なりますので、実際磨けているかどうかは歯科医師や歯科衛生士が目視で確認しなければわからないところもあります。
特に歯と歯の間や一番奥の歯、歯並びの悪い部分は磨き残しができやすく、むし歯になりやすい歯と言えます。歯科で磨けていない部分の磨き方や、フロスなどの清掃補助器具の使い方を学び、実践しましょう。また、歯磨き粉にはフッ素が含まれているものがあります。むし歯の初期には、このフッ素の働きで歯質が再石灰化し、元に戻ることができ、むし歯の進行を抑える働きがあるため、フッ素を含む歯磨き粉の使用はむし歯の予防につながります。
むし歯菌は、糖分を菌の中に取り込み、それを代謝することで酸を出します。歯は、酸に弱く溶けてしまい、これによりむし歯ができます。お口の中の菌を0(ゼロ)にすることは不可能ですが、この菌の栄養となる糖分の摂取を控えることでむし歯菌の増殖を予防することができます。
また、糖分を取ること自体が問題なのではなく、糖質食品や飲料のお口の中に停滞している時間が長いことがむし歯が多くできやすいということがわかっていますので、糖質を含むものを頻繁に取らないようにすることも、むし歯予防になります。食べ物を食べると食べ物そのものの酸や細菌が食物に含まれる糖を取り込もうと出す酸によって口の中は酸性になります。つまり頻繁に口腔内に食物が入っている状態が続くと、お口の中が酸性の状態が続くということになります。この酸がむし歯の原因となり歯の脱灰がはじまり、むし歯ができてしまいます。
これらからむし歯を防ぐ具体的な方法でいうと、お菓子やアメ・ガムを常に摂取し続けないことや、糖分摂取後はこまめに歯磨きを行うことです。
意外に知られていませんが、自分のお口の噛む力がむし歯の原因となることがあります。詰め物あると、噛む力により接着剤が剥がれ始め、隙間ができてしまいます。また、治療していない歯でも、細かいひび割れができてそこに菌が入り込むことでむし歯になることがあります。特に寝ているときは強く噛みしめたり歯ぎしりをすることにより、起きているときよりも歯に力の負担がかかります。これらを予防するためには、マウスピースを着けて就寝することを私たちはお勧めしています。咬む力による歯のダメージを防ぐことで隙間やヒビ割れを防ぎ、そこからのむし歯の予防にも繋がります。
1998年に徳島大学で行われた実験(※1)では、睡眠時に無意識下で発揮される咬合力を定量的に測定した結果では、睡眠時咬合力の最大値は81.2kgfで、覚醒時における最大随意咬合力の111.6%にも及んだとされています。近年では、TCHという起きている間でも上下の歯を接触させる癖が歯にダメージを与えていることもわかってきており、噛む力に対する予防を行うことが、むし歯だけでなく歯のヒビやチップ(破損)、破折から守るために重要となります。
むし歯は自分で気づいたときにはすでに大きくなってしまい、歯を削る必要があることも多い病気です。ですから、歯科でむし歯が大きくならないうちに見つけ、早めに治療することが大切です。
3〜4ヶ月に1度程度、歯医者で予防を続けることでむし歯を防いだり早めに見つけたり、歯石や歯垢をキレイに落とすことで菌の数を減らしたりコントロールすることができます。
また、自分の口の中の状態、つまり、むし歯ができやすいのか、できにくいのか、むし歯になりやすい部分はどこなのか、どういうケアの仕方が自分に合っているのかなどを知り、専門的なアドバイスを受けることもむし歯の予防には必要です。予防歯科ではご自身ではとれない歯石や歯垢を除去し、むし歯菌の住処をなくすとともに、フッ素の塗布やむし歯のチェックも行うことが可能です。アップル歯科ではこの予防歯科を大切にした診療を行っております。
※1)むし歯は自分だけでなく他の人にも移る感染症である
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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診療開始 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 |
診療終了 | 18:30 | 18:30 | 13:00 | 18:30 | 18:30 | 17:00 |
休診日:・日曜
※日曜・祝日診療は下記診療カレンダーをご覧下さい。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||||||||||||||
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