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親知らずは、その名の通り、「親が口の中を見ることがない年齢(10代後半から20代)に生えてくる」ことから”親知らず“と呼ばれるようになりました。正式には第三大臼歯という一番奥の臼歯のことを言い、智歯とも呼ばれます。
さて、この親知らずはというと、「抜歯した方が良い」と聞いたことがある方も多いと思います。これは、ヒトが進化の過程で顎が小さくなり、昔は片顎16本ずつで噛んでいた咬み合わせが、顎の広さ的に14歯が生え揃うと、親知らずが生えてくる隙間はありません。そのため、親知らずは斜めや横向きに生えたり、歯ブラシが届かないギチギチの状態で生えてきます。
このような状態で親知らずが生えてくると、他の歯の歯並びに影響したり、清掃性が悪いために虫歯や歯周病の原因になることから、「抜歯をした方が良い」と言われます。
親知らずの抜歯は、親知らずが埋まっている状態などは外科処置となるため、メスを使って歯肉を切開しないといけない場合があります。また、親知らずの根は顎の骨に埋まっており、歯の中には神経が通っているため、抜歯をするともちろん痛みを伴います。
しかし、これらの処置は一般的な歯科治療と同じで、局所麻酔によって痛みは消失することができます。とはいえ、「歯を分割したり」「強い力をかけたり」することもあるため、痛み以外に圧迫感や音などによる「怖さ」を感じる処置になる場合もあります。それに備えるには、歯科医師が「これからこんな処置をしますね」「少し揺れます」など、声掛けをしてもらうことです。怖さの多くは「何をされているかわからない」ことから来ることもあるため、親知らずの抜歯に限らず、歯科治療中にその都度何をするのか、施術の説明する歯科医がいるのはこのような怖さへの配慮でもあります。
親知らずの抜歯後は、通常2〜3日ほどお痛みが出る場合が多いです。長引く方なら1週間程度痛むこともあります。そのため、抜歯後は数日分の痛み止めが処方されることがほとんどです。痛みのピークは麻酔が切れた瞬間から翌日ぐらいと言われていますので、「痛みが出てきた」と思ったら無理せず処方されたお薬を服用しましょう。
また、腫れは痛みより少し遅れて出てくる場合もあります。抜歯後2日目程度がピークとなり、徐々に治まってきます。
痛みも腫れも、下顎より上顎の方がでにくいと言われています。これは上顎の骨の方が骨が柔らかいためで、上顎の親知らずの場合は、必要以上に怖がる必要はありません。
親知らずを抜歯したあと「全く痛くない」という方も稀におられますが、大なり小なり痛みが出る場合が多いです。そんなとき、最もその痛みにとって効果があるのは「鎮痛剤」です。
鎮痛剤にも種類があるため、鎮痛効果が薄いものは抜歯後には向いていません。そのため、ロキソプロフェンナトリウムや ジクロフェナクナトリウムなど、比較的鎮痛効果の高いお薬が処方されることが多いです。ただし、妊娠中や授乳中などは、お薬が胎児や乳児に移行することがあるため、どうしても抜歯が必要な場合は、痛み止めとしてアセトアミノフェン配合のお薬が処方される場合があります。
その他の方法といえば、痛みのツボを押すなどが紹介されていますが、実際のところ、お薬ほどの効果を得られるかどうかは定かではありません。
また、お薬は痛み止めの他に抗生物質を処方される場合がほとんどです。これは、傷口の細菌感染を防ぐためのお薬で、この服用をおろそかにしていると、後々傷口が感染し、本来なら回避できたはずの痛みを伴うこともあります。処方されたお薬を、用法・用量を守って服用することとは、その時の痛みやその後出るかもしれない痛みを抑えるために、とても大切なことです。また、お薬をのみきってもまだ痛むようなら、我慢せず歯科医に相談しましょう。
親知らず抜歯時の麻酔は、術後およそ3〜4時間で効果が消失します。効果が切れる少し前(抜歯後2〜3時間)に薬を飲むことで、麻酔が切れた直後の痛みを和らげることができます。
氷嚢や冷却ジェルシート、濡れタオルなどで抜歯部位の周辺を冷やすことで熱を吸収して痛みを軽くします。ただし、冷やし過ぎは血液の循環が悪くなるため抜歯当日のみの対策です。
清潔なガーゼを患部に当て、軽く噛んで圧迫し、血を早めに止めることで痛みを抑えます。抜歯後は血が止まるまでガーゼを噛んでおきましょう。ただし強く噛むと傷口が広がる恐れがあります。
アルコールは血管を広げる作用を持ちます。血管が広がると神経を圧迫し、炎症を起こして痛みを伴います。抜歯当日から痛みが残っている間はアルコールを控えましょう。
タバコに含まれるニコチンには血管収縮作用があり、抜歯の傷口に血液が行き渡りにくくなり、傷の治りが遅くなって痛みが長引きます。また、感染症や薬の効果を阻害することもあります。
香辛料を含んだ食べ物や酢や酸味の強いもの、味が濃いものなどは傷の治りを阻害したり、血行が促進されることで傷口が広がる恐れがあります。また抜歯後はしばらく硬い食べ物も控えましょう。
概ね1週間を超えても強い痛みが残っている場合は、一度歯科医師に診てもらいましょう。親知らずの抜歯の場合、「ドライソケット」といって、抜歯した部分の骨が露出したままになり、骨に細菌感染が起こるということが少なからず起こります。
ドライソケットが起こる原因として、身体の免疫力が落ちていたり、血流が悪いなど、様々な原因が考えられますが、ウガイのしすぎで血餅ができずに、骨が感染することもあります。
血が出たり傷口が気になることはわかりますが、抜歯後は舌で傷口を舐め回したり、必要以上にうがいをしないように中しておきましょう。
また、痛みや腫れがひかないなど、心配なことがあれば、躊躇せず歯科医師にご相談下さい。
うがいのし過ぎや強いうがいは、上記のようにドライソケットの原因になります。
飲酒や運動は血行が良くなりすぎ、喫煙は感染の原因となるため、治癒の進行を妨げる原因となります。
食事は片顎で摂ることを心がけ、抜歯窩に食物や細菌が入らないように注意しましょう。
麻痺や大きな血管の損傷リスクがある場合は、一般の歯科医院ではなく大学病院などの大病院へ紹介となる可能性があります。これはリスクが高いというわけではなく、何かあった時にすぐに対応できるように備えるためです。ほとんどの場合何事もなく抜歯を終えることが多く、万が一麻痺が出ても消える事が多いので必要以上に心配することはありません(※1)。
※1)1,299例 中8例(0.6%)にオトガイ神経麻痺が,1例(0.08%)に舌神経麻痺が出現し,3週間から1年以内に全例麻痺は消失した。
親知らずの抜歯は、外科処置や痛み・腫れなど、不安と感じる要素も多い歯科治療です。中には「抜歯しなければよかったと後悔した」という話を聞いた人もいるようです。ですから、「出来れば抜歯をしたくない」と思う方も少なくはないでしょう。
しかし、中にはその親知らずを置いておくことで、回避できたはずの虫歯や歯周病に罹ってしてしまったり、歯並びに悪い影響を与えてしまうこともあるかもしれません。
ですから、まずは自分の親知らずを「抜歯するべきか」歯科医師と相談することから初めてみてはいかがでしょうか?場合によっては、自身の親知らずは抜歯の必要がない生え方をしていたり、歯科医師の説明を聞くことで、抜歯に対する恐怖が少なくなることも考えられます。
親知らずは、抜いてしまっても問題のない歯でも、残しておくことでリスクとなることのある歯です。「抜歯は怖い」言う方も、まずはお気軽に相談にお越し下さい。
アップル歯科尼崎駅前 歯科医師
抜歯、しかも親知らずの抜歯となると「怖い」とか「不安」に思う人は少なくありません。
自分の親知らずがどんな状態なのか、抜歯が必要なのか、相談したからと言って必ず抜歯をしなければいけないわけではありません。ですから、親知らずに対する不安や悩みがある方は、まずは相談してみましょう。
親知らずの抜歯は、初診で行われることはほとんどありません。まずはあなたの親知らずについて、検査の結果をしっかり歯科医師から説明してもらいましょう。
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