歯周病は、ギネスブックにも掲載されたことのある世界で最も感染者の多い感染症です。日本では、30代以降では約5割以上の人が罹患していると言われており、最も多い歯を失う原因でもあります。
歯は胃や小腸・大腸に代表される消化器系器官の付属物ですので、失うことは食物の消化に関して多大な影響を与えます。歯は他の臓器と同じく、失うと二度と元には戻りません。そんな私たちの歯を最も多く奪う病気が歯周病ということです。
虫歯の場合、大きくなり始めると痛みを伴うため気づいた時点で治療をすることが可能ですが、歯周病は痛みを伴わず進行することがほとんどです。気付かないうちに進行して、気付かないうちに歯が残せなくなります。大切な歯を守るためには、気付くよりも前に未然に防ぐ必要がある病気です。
細菌が多く繁殖した口腔内は、虫歯や歯周病を進行するリスクが高まります。
歯肉溝 0.5~2mm
歯周病になっていない状態では、歯肉は薄いピンク色をしており引き締まった状態です。
歯周ポケット 4mm以内
歯肉にプラーク(歯垢)と呼ばれる細菌の塊が付着し歯肉が炎症を起こし始めます。この状態になると歯ブラシで出血することもあります。
歯周ポケット 5mm以内
歯肉の炎症がさらに大きくなり歯周病菌が歯周組織に侵入し、歯を支えている歯が破壊され始めます。
歯周ポケット 6mm以上
炎症がさらに拡大し、骨の破壊も深くまで進んでいます。歯周ポケットも広がりプラーク、歯石がポケット内に多く沈着しています。
歯周ポケット 6mm以上
歯の周りの骨が半分以上破壊され支えがなくなった歯はもうグラグラになります。咬合性外傷という咬み合わせの問題も生じることもあり治療も困難な状態です。
歯周ポケット なし
歯周病が進行しきると、歯が抜けてしまったり、抜歯が必要な状態になってしまいます。1本抜けることで周りの歯も支えを失うため、他の歯も抜けやすい状態になります。
心当たりはありませんか?2つ以上当てはまれば注意が必要です、一度検査を受けることをおすすめします。
歯周病は歯の周りの組織を犯すだけではなく、全身にも影響を及ぼすことがわかっています。例えば歯周病菌が出す毒素が血液中に入り、心臓や肺に入りこみ全身疾患を引き起こすとも言われています。代表的なものだけでも以下のものがあげられます。
歯周病治療はどんなことをするの?
歯と歯茎の隙間のポケット(歯肉溝)の深さを測ったり、歯や歯ぐきの内側を触って状態を確認します。
歯周ポケットの深さや出血などから 歯周病の進行程度や炎症の有無が分かります。
歯の表面に付着しているプラーク(細菌の塊)を取り、顕微鏡にて映像をみてもらいます。細菌の数、種類、大きさを確認する事が出来ます。
おおまかな虫歯菌・歯周病菌の多さも判別できるため、より効果的なケアを行えます。
歯肉の状態や歯垢の付着から普段の歯磨き状況をチェックし、どこが磨けてないかお伝えします。
セルフケアが良いお口の状態をキープできる最も大切な要素ですので、頑張って習得できるようにしていきましょう。
今までの検査やお口の中の状態から今の歯周病の段階を判断し、どれくらいの回数がかかるかお伝えします。コミュニケーションを大切にしながら、痛みの少ないよう治療を進めます。
基本的には歯石の除去やクリーニングで口腔内の菌をコントロールしていきます。歯石や歯茎の腫れは一回の治療で取り除くことは難しい場合もあります。歯石は歯の表面(見えている所)にも沈着していますが、歯肉の中(見えない所)にも沈着します。
そのため、人によっては回数がかかる治療となることはありますが、患者様と相談しながら治療していきますので不安などありましたら、気軽に歯科衛生士に相談してみてください。
歯周病は歯の喪失原因第一位の病気です。(※1)そして歯を失うだけではなく、身体的な病気の原因になったり、その病気の悪化を促したり、口臭や見た目の問題にもなる複合的な要素をはらんだ病気です。気付かず進行することも多く、気付いた時に後悔する人はたくさんおられます。
歯周病にもっとも有効なアプローチは予防ですので、後悔しないためには定期的に検診を受けることが重要です。少なくとも1年以上歯科に通われていないのであれば、1度定期検診や歯周病の検査をご検討ください。
※1)抜歯の主原因別の割合で最も多かったのは歯周病(37.1%)、次いでう蝕(29.2%)、破折 (17.8%)、その他(7.6%)、埋伏歯(5.0%)、矯正(1.9%)の順となった。
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