型どりの材料が気持ち悪い、歯を削る器具が喉に当たって治療ができない、水が溜まると吐きそうになる等々の不快症状が原因で歯科医院に通うのが億劫になってしまう…なんていう方、周りにおられませんか?お口の中に異物が入り、「オエッ」となる症状を「嘔吐反射と言います。嘔吐反射は誰にでも起こる現象ですが、中にはこの嘔吐反射が強く出てしまう方もおられ、歯の治療が困難な方もおられます。このように嘔吐反射が強い方はどうすればよいのでしょうか?ここでは、当院が行っている「嘔吐反射」が強い方向けの対応策をご紹介します。
嘔吐反射とは、舌の奥の部分、咽頭部、上あごの口蓋と言われる部分などを刺激により誘発される反射のことをいいます。
人によって気持ち悪さを感じる部分は様々ですが、嘔吐反射の強い方はこれらのどこか、もしくは全部が敏感に反応してしまい、「オエッ」となってしまうのです。
また、嘔吐反射は口腔内への直接的な刺激だけだはなく、歯科治療に対しての不安や緊張、過去の不快な治療経験などの心理的な要因がきっかけとなることもあります。
他にも、あまり頻繁ではありませんが神経系の疾患、心疾患、薬物の内服等によっても起こると言われています。(※1)
※1)嘔吐反射の強い方への治療に関する参考文献
対処法1
型どりの材料を乗せるための器具や回転切削器具が上あごや舌に当たって気持ち悪いと感じられる方は多いと思います。そういった方のために当院では小さめの器具をご用意しております。
写真1小さい回転切削器具
ヘッドの部分が写真のように小さいものをつかいます。器具の面積を小さくなることで嘔吐反射の引き金となる部位に触れる可能性を低くします。
写真2小さい型取り用のトレー
通常のものと比べて小さくなっております。特に型どりの不快感は、型取り用のトレーを小さくすることで大幅に減らすことができます。
対処法2
排唾管と呼ばれるくだをお口の端にかけながら治療を行います。これにより水や唾液が常に吸引される状態になるため、嘔吐反射を減らすことができます。
対処法3
舌に近い部分や、上あごの口蓋と呼ばれる部分に表面麻酔や浸潤麻酔をすることによって感覚を麻痺させ、苦痛を減らすことができる可能性があります。ただしこれは上手くいくかどうかは個人差があります。
対処法4
現在では、トレーや印象材を使わず、データ上で歯の形を測定する。光学式の口腔内スキャナーというものがあります。これにより、型どりの材料の不快感を軽減し嘔吐反射を減らすことができます。ただし、口腔内スキャナーのスキャナー部の部分にある程度大きさがあり、完全に口腔内に当たらない訳では無いので不快症状を完全に0に出来るかは個人差があります。
対処法5
笑気と呼ばれる気体を用いて麻酔をかけます。リラックス効果があり、不安や緊張が和らぐので嘔吐反射を減らせる可能性があります。
笑気を用いても意識はありますし、やや痛みも感じにくくなります。ただし、呼吸器疾患のある方や、体内に閉鎖腔のある方、アレルギーの方には使用できず、適応があります。
対処法6
静脈内にジアゼパム、ミダゾラム、フェンタニルといった鎮痛薬や向精神薬を直接注入することにより鎮静状態を作る麻酔法です。一応意識下での治療になりますが、健忘効果もあるため治療中の痛みや不安も忘れます。歯科治療においては非常に有用性が高いです。静脈鎮静麻酔はインプラント等の手術を行うような医院であれば施術可能なことは多いです。しかし、しっかりし意識をコントロールし、薬の量を調節しながらの治療になりますので、麻酔の知識は不可欠です。歯科口腔外科にて歯科麻酔について学んだ医師や、歯科麻酔医が立ち会える歯科での治療が望ましいです。(※2)
静脈内鎮静は、一部保険での治療に対応している医院もありますが、むし歯の再発リスクが低いといわれる精密治療やセラミック治療、一度に多くの治療をすすめる短期集中、インプラントなどが治療に含まれる場合など、治療の内容によって保険が適用されない場合もあります。
※2)静脈内鎮静法に関する参考文献
対処法7
様々な手段を試してもどうしても無理な方への最後の砦となります。完全に無意識下での治療になります。全身麻酔を行うには、施設や薬剤の要件があるため、一般的な歯科医院では難しいことが多いため、大学病院等へのご紹介という形が多くなります。全身麻酔にはリスクが伴いますので、なるべくなら他の手段を試して、最終的な手段として検討しましょう。
一度、歯科医院で「オエッ」となってしまったら、治療するのが恥ずかしくなったり、嫌になったりするというお気持ちは、おそらくすべての歯科医師は理解していると思います。
しかし、歯科治療が必要なむし歯や歯周病は、放置してしまうとどんどん進行してしまう病気です。ですから、当院が嘔吐反射の強い患者様にカウンセリングにて、「今回あらゆる手を尽くしてしっかり治療して、むし歯や歯周病になりにくいお口の環境にしていきましょう」ということをお伝えしています。
歯科での治療の多くは、一度治療した歯の再治療です。つまり、一度むし歯になった歯は、再度虫歯になる可能性が高いということになります。だからこそ治療が苦手な方ほど、むし歯や歯周病になりにくい素材や治療をお選びいただくべきだと考えています。自分にどんな治療が必要で、どうすれば健康なお口を保てるか、歯科医師としっかり相談して決めることをおすすめ致します。
この記事の編集・責任者は歯科医師の田中 公之です。
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